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中央検査科


中央検査科は臨床検査を通して臨床各科の診療を支援しています。
【2022.5.1 現在】中央検査科には21名の臨床検査技師が配属され、高い専門性と分野を超えた協力体制を構築しています。また一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会より精度保証施設認証を受け、24時間365日、厳密な精度管理に基づいた臨床検査データを提供しています。その他にも院内感染対策チーム、褥瘡管理チーム及び栄養サポートチームの一員として回診同行やラウンドを行っています。また、外来採血、自己血糖測定方法の指導や測定器の管理、病棟早朝検体の集荷、病棟予約検査の採血管準備や採血指示リストの作成、院内カンファレンス(内科CPC、外科CPC、皮膚形成CPC等)の開催補助等も行っています。


臨床検査を受ける皆様へ

臨床検査を受ける際は以下について、ご注意ください
I:検体検査

1.採血

臨床検査項目によっては食事や運動の影響を受けるものがあります。「朝食を抜いて来院して採血をしてください」等とお伝えする場合は、食事の影響を受ける臨床検査項目が含まれていますので、前日の21時00分以降は水、お茶以外の飲食は控えてください。また、個人差はありますが運動の影響を受ける臨床検査項目がありますので、採血前日を含め、過度な運動は控えてください。
[食事の影響を受ける臨床検査項目]
増加 血糖、中性脂肪、尿酸、尿素窒素、総コレステロール、Na、CK、ALP
減少 総ビリルビン
[運動の影響を受ける臨床検査項目]
増加 総蛋白、尿酸、尿素窒素、総コレステロール、クレアチニン、中性脂肪CK LD、Na、K、AST、ALT、ALP

2.採尿

採尿時は最初と最後の尿は捨て、採尿カップに中間尿を10mL以上採尿してください。採尿カップには尿以外のものは入れないでください。また、生理のときは主治医、看護師等にお知らせください。

3.採便

[便潜血(緑色の袋)の場合]
同封のトレールペーパーを便器内に敷いて排便し、便の表面を採便用スティックでまんべんなく擦り取り、容器(保存液入り)に収めてください。先端の溝が埋まるくらいが適量です。採便量が多過ぎると正しい検査ができませんので、ご注意ください。採便後は冷暗所で保存してください。血液の混入を防ぐため、生理中の採便はしないでください。尚、食事の制限はありません。詳しくは同封の説明書をご覧ください。
[白い便カップの場合]
付属の紙製のさじを使用し、親指の先くらいの便を容器に入れてください。

4.採痰

痰はできるだけ起床時最初に喀出されるものを採取してください。採痰時は口腔内の常在菌を洗い流すために、水でよくうがいをし、なるべく鼻汁・唾液などが混入しないように深部から喀出してください。採痰が困難な場合は起床直後に強い咳払いや深呼吸等を試してください。

II:生理検査

1.ホルター心電図

ホルタ―心電計装着中は入浴やシャワーは使用できません。また、MRI、CT、レントゲンの検査は行えません。電気毛布は使用しないでください。それ以外はいつも通りの生活をしていただき、携帯電話の使用も可能です。

2.運動負荷心電図(トレッドミル)

歩行等の軽い運動を行いますので動きやすい服装で、ご来院ください。女性はスカートでは無くパンツスタイルをお勧めします。検査時、男性は上半身裸、女性は薄手のシャツ1枚になり、裸足になっていただきます。

3.脳波検査

頭髪は前日に洗髪し、整髪料等はつけず、簡単な髪形でご来院ください。検査では額の辺りにも電極をつけますので、お化粧が少し落ちる場合があることをご了承ください。検査時間は約1時間です。検査前にトイレを済ませてください。

臨床検査基準値及び概要一覧


下記に記載されている内容は一般的なものです。
自己判断は行わず、疑問等がありましたら必ず医師にご確認ください。
生化学検査
1)各臓器に分布する酵素を測定し、臓器の機能を調べる検査です

AST(GOT)

アミノ酸の代謝に関わる酵素で肝臓、心臓等に多く含まれ、肝細胞等が炎症等で障害を受けると血液中に放出されて増加します。
基準値 8~40 U/L

ALT(GPT)

アミノ酸の代謝に関わる酵素で主に肝臓に含まれ、肝細胞が炎症等で障害を受けると血液中に放出されて増加します。
基準値 5~35 U/L

γ-GTP

アミノ酸の代謝に関わる酵素で肝臓、腎臓に多く含まれ、胆道系の閉塞やアルコール、脂肪肝等によって産生が誘発されて増加します。
基準値 7~50 U/L

LD(IFCC法)

細胞が障害を受けた場合に血中に逸脱する酵素で心筋梗塞等で増加します。
基準値 124~222 U/L

CK

骨格筋、心筋、脳に多く分布し、これらの臓器が障害を受けた場合に増加します。
基準値 10~180 U/L

ALP(IFCC法)

本来は生体膜に局在しますが、肝、胆管、骨の疾患等で増加します。
基準値 38~113 U/L

アミラーゼ

膵型アミラーゼと唾液腺型アミラーゼの2種のアイソザイムがあり、膵疾患や唾液腺疾患で増加します。
基準値 35~120 U/L
2)主に糖尿病の有無や状態を調べる検査です

Glucose

血液中のブドウ糖は主にエネルギー源として使われ、飲食によって増加する他、インスリン機能の低下やインスリン量の欠乏等によっても増加します。
基準値 60~110 mg/dL

Hb-A1c

血液中のブドウ糖と結合したヘモグロビンの一種で血液中に多くのブドウ糖が長期間存在すると増加します。過去1~2ヶ月の血糖状態を反映します。
基準値 (NGSP)4.6~6.2 %
3)主に血液中の脂質の量を調べる検査です

総コレステロール

細胞膜や血管壁の材料やホルモンや胆汁酸の成分で動物性タンパク質の過剰摂取等により増加します。
基準値 130~220 mg/dL

HDLコレステロール

善玉コレステロールとも呼ばれています。血液中の過剰なコレステロールを肝臓に運ぶ役割を持つコレステロールの量を調べる検査です。喫煙によって減少します。
基準値 M 35 mg/dL以上
F 40 mg/dL以上

中性脂肪

脂肪の主成分でエネルギー源の他、体温保持の役割もあります。食事による摂取の他、飲酒は肝臓での合成を促進して増加します。
基準値 35~150 mg/dL

LDLコレステロール

悪玉コレステロールとも呼ばれています。肝臓から体内の必要な箇所にコレステロールを運ぶ役割を持つコレステロールの量を調べる検査です。動物性脂肪の過剰摂取によって増加します。
基準値 70~139 mg/dL
4)主に栄養状態を調べる検査です

総タンパク

血液中のタンパクの量を調べる検査で低栄養状態や肝機能障害等で減少します。
基準値 6.8~8.2 g/dL

アルブミン

総タンパクのうちの約60%を占め、ネフローゼ症候群等で低下します。
基準値 3.7~5.2 g/dL
5)主に細胞内外の水分の調整や神経の伝達に必要な電解質量を調べる検査です

Na

血圧の調整や神経伝達及び筋の収縮等に関係します。食塩の過剰摂取により増加します。
基準値 134~146 mEq/L

K

血圧の調整や神経伝達及び筋の収縮等の他、老廃物の排泄に関係します。ナトリウムを過剰摂取するとカリウムは排泄され減少します。
基準値 3.4~4.9 mEq/L

Cl

血圧の調整や神経伝達及び筋の収縮等に関係します。基本はNaと並行して変動します。その他のイオンの影響を受けるとNa値との差が変動します。
基準値 98~108 mEq/L
6)主に腎機能を調べる検査です

尿素窒素

タンパク質の分解によって生じる尿素に含まれる窒素成分で、通常は腎から排泄されますが脱水や腎機能障害があると増加します。
基準値 5~22 mg/dL

クレアチニン

タンパク質の分解によって生じる代謝産物の一つで、通常は腎から排泄されますが、腎機能障害があると増加します。
基準値 0.6~1.3 mg/dL

尿酸

細胞や組織内に生じる代謝物質です。プリン体を多く含む食品を摂取すると増加します。
基準値 2~7 mg/dL
7)その他

総ビリルビン

ビリルビンは肝臓で処理されるため、肝機能低下で増加することから、すべての肝胆道疾患のスクリーニングや経過観察に有用です。
基準値 0.30~1.10 mg/dL

CRP

組織の障害等によって血液中に産生される急性相反応物質の一種で、炎症や組織破壊が生じると24時間以内に増加します。
基準値 0.5 mg/dL 以下

血液検査

WBC(白血球数)

血液1μL中に含まれる好中球、好酸球、リンパ球等の白血球の総数です。白血球は細菌やウイルス等が体内に入った時に防御する役割を持ち、炎症により増加します。
基準値 3,400~8,800 /μL

RBC(赤血球数)

血液1μL中に含まれる赤血球の数です。骨髄でつくられ骨髄機能低下や出血で減少し、脱水等で増加します。
基準値 男性 416~552万/μL
女性 381~505万/μL

HgB(ヘモグロビン量)

血液100mLに含まれるヘモグロビンの量(g)です。酸素を運搬する働きを持ち、骨髄機能低下や出血で減少し、脱水等で増加します。
基準値 男性 13.2~17.2g/dL
女性 11.7~15.7g/dL

Hct(ヘマトクリット値)

血液の血球成分の占める容積割合です。骨髄機能低下や出血で減少します。
基準値 男性 39.2~49.2%
女性 35.1~45.3%

Plt(血小板数)

血液1μL中の血小板数です。出血を止める働きを持ち、骨髄機能低下や出血で減少します。
基準値 11.8~36.4万 /μL

凝固・線溶系検査

PT

血管外で働く外因系凝固作用を示します。血栓症の有無、抗凝固療法(ワーファリン等)の評価の他、肝機能状態も反映しています。
基準値 活性:70 % 以上

APTT

血管内で働く内因系凝固作用を示します。血栓症の有無、抗凝固療法(ヘパリン等)の評価の他、血友病では延長します。
基準値 25~39 秒

Fbg

出血部位の血小板塊を糊のように補強する働きをします。Fbgが高いと血栓ができやすく、低いと出血しやすくなります。炎症によって増加します。
基準値 130~350 mg/dL

尿一般検査

尿タンパク

尿中に含まれるタンパクの量を調べる検査です。通常は1日に150mg未満ですが腎臓の濾過や再吸収機能に障害があると増加します。
基準値 (-)

尿潜血

尿中に赤血球が存在するか否かを調べる検査です。腎臓や尿管等に炎症や出血があると尿中に出現します。
基準値 (-)

尿白血球

尿中に白血球が存在するか否かを調べる検査です。尿路系の細菌感染や、薬剤または病状による炎症反応がある場合に出現します。
基準値 (-)

亜硝酸塩

尿中に細菌がいると亜硝酸塩を作ることを利用して細菌の有無を調べます。腎臓や尿管等に細菌感染がある場合等に尿中に出現します。
基準値 (-)

ケトン体

尿中に脂肪が肝臓で分解されて作られたケトン体が出ているか否かを調べます。エネルギー源として糖質より脂質を利用している場合等に尿中にケトン体が増加します。
基準値 (-)

ビリルビン

赤血球中のヘモグロビンが肝臓で分解されビリルビンになります。血中のビリルビン濃度が増加すると尿中のビリルビンも増加します。
基準値 (-)

ウロビリノーゲン

腸内に排泄されたビリルビンが腸内細菌の働きで分解されウロビリノーゲンになります。血中のビリルビン濃度が増加している場合に尿中のウロビリノーゲンが増加します。
基準値 normal

尿沈渣

尿中に含まれている細胞成分等を遠心分離で集めて顕微鏡で観察し、細胞数や形態的特徴を報告します。
基準値

穿刺液検査

脳脊髄液

髄膜炎や脳炎といった中枢神経系の感染症をはじめ、くも膜下出血、多発性硬化症、ギランバレー症候群等の診断及び経過観察のために実施されます。脳脊髄液中の細胞数算定、細胞分類、糖、タンパク等の測定をし、感染症の原因が細菌性なのかウイルス性なのかを推測する事ができます。
基準値

胸水

健常人でも微量に存在しますが、肺炎や肺癌、肝機能障害等で異常に増加します。胸水中の細胞数算定、細胞分類、糖、タンパク、LD、比重等を測定し、感染症や悪性腫瘍による炎症性なのか、肝機能障害やうっ血性心不全等の非炎症性なのか鑑別します。
基準値

腹水

胸水同様、健常人でも微量に存在しますが、肝機能障害等で異常に増加します。腹水中の細胞数算定、細胞分類、糖、タンパク、LD、比重等を測定し、炎症性なのか、非炎症性なのか鑑別します。
基準値

関節液

関節液も健常人でも微量に存在しますが、関節の炎症により異常に増加します。関節液中の結晶を判定することによって痛風等の代謝異常疾患の判別を行います。
基準値

血清学的検査
1)感染症:血液等の体液を介して感染する病原体の検査です

HBs抗原

B型肝炎ウイルスに感染後、最初に陽性となるマーカーで、陽性であれば現在B型肝炎ウイルスに感染している可能性があります。
基準値 <0.05 IU/mL

HBs抗体

B型肝炎ウイルス感染の治癒後や、B型肝炎ウイルスワクチン接種後に上昇します。
基準値

HCV抗体

陽性であれば現在C型肝炎ウイルスに感染しているか過去に感染していた可能性があります。
基準値 <1.0 S/CO

HIV抗体

陽性であれば、AIDS(エイズ)の原因ウイルスであるHIVに感染している可能性があります。
基準値 <1.00 S/CO

梅毒

梅毒は2種類の検査を行いそれぞれの特徴より、陰性・初期感染・感染・治癒後、等と判断します。
  • カルジオ…梅毒感染後、TP抗体より先に陽性となり治癒後に陰性化します。梅毒以外の疾患で陽性となる事もあります。
  • TP抗体……梅毒感染後、カルジオより遅れて陽性となり治癒後に陰性化するまでに数十年を要します。
基準値 (-)
2)腫瘍マーカー:がんの種類毎に増加する特定物質を検出し、がんの推測や治療効果判定に使用します

AFP

主に肝細胞癌で上昇します。他に肝芽腫、卵黄嚢腫瘍、慢性肝炎、肝硬変でも高値を示します。
基準値 <10 ng/mL

CEA

消化器系の癌を始め肺癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌等でも上昇しますが、良性疾患や加齢、長期喫煙等でも上昇するので注意が必要です。
基準値 <5 ng/mL

FRN

白血病やリンパ腫といった血液疾患や悪性腫瘍で高値となります。また貯蔵鉄の量を反映するため、女性に多い鉄欠乏性貧血の場合は、早期より低値を示します。
基準値 M 20.0~277.0ng/mL
F 12.0~152.0ng/mL

CA19-9

主に膵癌、胆道癌で上昇します。しかし、Lewis式血液型と関連があり、Le(a-b-)の人は全く合成されないため、注意が必要です。
基準値 <37 U/mL

CA125

卵巣癌で有意に上昇しますが、子宮内膜症でも軽度上昇するため、子宮内膜症の補助診断や治療効果判定に用いられます。また他に、消化器系の癌でも軽度上昇する事もあります。
基準値 <35 U/mL

PSA

前立腺癌で上昇し、前立腺肥大でも軽度上昇します。
基準値 <4.0 ng/mL
3)免疫グロブリン:体内に侵入してきた病原体に抵抗するためのタンパク質です

IgG

病原体に感染した際には、IgMに遅れて上昇しますが回復後もある程度残り、終生免疫に関与します。また、免疫グロブリンの中で最も小さい事から免疫グロブリンで唯一、胎盤を通過し新生児の抵抗力となります。
基準値 870~1700 mg/dL

IgA

母乳や唾液といった分泌液に多く含まれ局所免疫に貢献します。また母乳にも含まれる事で、IgAも新生児の抵抗力となります。IgA腎症では高値を示します。
基準値 110~410 mg/dL

IgM

免疫グロブリンの中で最も大きく、病原体に感染した際には最も早期に上昇しますが、回復とともに元に戻ります。この事から、IgMが高値の場合は感染症の初期が疑われます。
基準値 35~220 mg/dL
4)リウマチ関連

RF

Rheumatoid Factor(リウマチ因子)の略で、関節リウマチの原因となるタンパク質です。RFが陽性である事が関節リウマチの診断基準の1つとなっています。
基準値 <15 IU/mL

MMP-3

炎症性関節炎の中で、関節リウマチでのみ上昇します。腎不全では尿中に排出できず、関節リウマチで無くても血中MMP-3が高値となる事があります。
基準値 M 35.2~123.8ng/mL
F 16.1~56.8ng/mL
5)甲状腺機能

TSH

甲状腺刺激ホルモンの事で、下垂体より分泌され甲状腺ホルモンの合成・分泌を促します。バセドウ病等の甲状腺機能亢進症で低値となり、甲状腺機能低下症等では高値となります。
基準値 0.32~3.74 μIU/mL

FT3

遊離トリヨードサイロニンという甲状腺ホルモンで、肝臓等でサイロキシンから転換されサイロキシンより微量ですが高活性です。バセドウ病等の甲状腺機能亢進症で高値、甲状腺機能低下症等で低値となります。
基準値 2.2~4.4 pg/mL

FT4

遊離サイロキシンという甲状腺ホルモンです。甲状腺で合成・分泌されます。FT3同様、バセドウ病等の甲状腺機能亢進症で高値、甲状腺機能低下症で低値となります。
基準値 0.9~1.9 ng/dL
(参考文献:臨床検査ガイド2009~2010、臨床化学第二版)
輸血検査
疾患や手術による出血、または血液疾患等による貧血の改善のために輸血を行います。
しかし、まれに副作用が生じる恐れがあり、その原因としては抗体(赤血球を直接的あるいは間接的に破壊する)や血漿中の微量なタンパク質等があります。当院では主に抗体による重篤な副作用を防ぐため、以下の検査を実施しています。

1.血液型検査

ABO式血液型とRho(D)抗原の2種類について検査を行います。

2.不規則抗体スクリーニング

ABO式血液型以外の抗体を不規則抗体と言い、通常は存在しません。しかし過去に輸血や妊娠をしたことがある場合、不規則抗体を産生することがあり、その不規則抗体と反応する血液が輸血されると副作用が生じます。そのため、輸血をする前にあらかじめ不規則抗体の有無を調べ、保有していた場合はその種類を特定し、その不規則抗体と反応しない血液製剤を使用します。

3.クロスマッチ(交叉適合試験)

受血者血漿と供血者赤血球(主試験)、受血者赤血球と供血者血漿(副試験)を試験管内で反応させる検査です。実際に輸血する予定の血液製剤と受血者の血液を反応させるため、クロスマッチで反応を示した血液製剤は基本的にその患者さんには使用されません。

微生物検査
当院では微生物検査室を院内に持ち、疾病の原因となる菌やウイルスを速やかに検出し、治療に有効な抗生剤を調べています。また、院内感染を防止のための情報や資料の提供を行っています。

1.塗抹・鏡検・培養・同定・薬剤感受性検査

肺炎や肺結核が疑われる時には痰、膀胱炎や尿路感染症が疑われる時には尿、食中毒による下痢の場合には便などを検査します。また血液、髄液、胸水、腹水、関節液、膿、咽頭粘液、耳漏、角膜擦過物、膣分泌物、組織など様々な検体が提出され、塗抹・鏡検・培養・同定検査を行います。
感染症の原因菌と推定される細菌が検出された場合、薬剤感受性検査を実施します。当院ではCLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute:米国臨床検査標準協議会)標準法に準拠し、S(感受性)、I(中間)、R(耐性)の3種で報告しています。

2.遺伝子検査

病原体の特定の遺伝子配列を増幅し検出する検査で、当院では結核菌検査を日祭日及び夜間を除きLAMP法で行っています。概ね1時間程度で結果が得られ、画像検査や、臨床症状から結核が強く疑われる場合や鏡検で抗酸菌が検出された場合等に実施されます。しかし、菌が死んでいても遺伝子が残っていれば陽性となるので注意が必要です。

3.迅速検査

イムノクロマトグラフィを測定原理とした抗原検出キットにより微生物を検出する検査法で30分以内に結果が出ます。当院ではインフルエンザウイルス、ノロウイルス、A群β溶血連鎖球菌、RSウイルス、アデノウイルスを24時間365日体制で実施しています。

4.感染対策

抗生剤が無効な耐性菌(多剤耐性菌)は毎年世界各地で報告されており、微生物検査室では多剤耐性菌などの院内感染対策上、問題となる微生物を検出した場合には直ちに依頼医、看護師長、院内感染対策委員長に報告し、蔓延防止のための警告を出しています。また、ICT(Infection Control Team:感染対策チーム)の一員として定期的に院内をラウンドし各部署の感染対策上の問題点の改善に貢献しています。

病理・細胞診検査
当院は東京医科歯科大学病理部と連携のもと、高い水準で術中迅速診断、病理診断及び病理解剖を行っています。
病理・細胞診検査は、患者さんの病変を疑う部位から細胞や組織を採取し、肉眼的あるいは顕微鏡で観察し、病気の診断(病理診断)をする検査です。また、ご家族から許可をいただき病理解剖も行います。主な業務内容は下記の通りです。

1.生検組織診断

胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査で見つかったポリープや潰瘍、皮膚にできた腫瘤など、肉眼では診断が困難な場合等に病変の一部を採取して組織標本を作製し、病理医が顕微鏡で詳しく観察して診断を行います。

2.手術材料の診断

手術により摘出された臓器を、病理医が肉眼的に病変の部位、大きさ、性状、広がりを観察し、切出しを行った後、顕微鏡標本を作製します。標本を顕微鏡で観察することにより、病気の種類や状態、広がり等を診断し、その後の治療に役立てます。

3.術中迅速組織診断

手術中に採取された病変部等の組織を瞬間凍結して短時間で標本を作成し、組織診断を行います。病変の広がり等を手術中に迅速に診断し、手術室に報告することで、より的確な手術が可能になります。

4.細胞診

尿や喀痰、胸水・腹水などの検体に含まれる細胞成分等を用いて標本を作製し、顕微鏡で観察して病変の有無を調べます。子宮がん検診では子宮頚部等を擦過して細胞を採取し、標本を作製して診断します。細胞診は検体採取が比較的容易で患者さんへの負担が少ない検査です。

5.病理解剖

ご遺族の承諾を得て、患者さんの直接死因、生前の診断、治療効果等について究明することを目的として行われます。

生理機能検査
直接、患者さんを対象に検査を行います。心臓を診る心電図検査・心臓超音波検査、肺を診る呼吸機能検査、てんかんや脳炎の診断のための脳波検査などがあります。また、動脈硬化の程度を調べるABI検査も行います。心電図以外は日祭日及び夜間を除いて、実施しています。

1.心電図検査

不整脈や心筋の異常などを調べる検査です。胸と両手首・両足首に電極をつけて検査します。約5分程度で終わります。以下、様々な心電図の検査があります。
[ホルター心電図]
24時間心電図とも呼ばれ、携帯型の心電計を装着していただき日常生活中の心電図を記録します。短時間の心電図では検出されない不整脈や、胸部違和感や胸痛などの自覚症状があった時の心電図を記録することができます。
[運動負荷心電図]
専用のベルトコンベアの上を歩き、心臓に負荷をかけて心電図の変化を観察します。同時に運動中の血圧や脈拍の変化も記録します。狭心症等、虚血性心疾患が疑われる場合に有効な検査です。

2.心臓超音波検査

体表面から超音波を用いて身体の内部構造を観察します。痛みを伴わない非侵襲的検査です。モニターを見て検査を行うため部屋は暗くします。心臓の動きや大きさ、弁の開閉、血流の速さなどを調べ、心臓の機能や3Dエコーを使用して弁膜疾患や先天性心疾患の評価をします。

3.呼吸機能検査

肺の容量や機能、気道の状態をみる検査です。マウスピースを口にくわえて、息を吸ったり吐いたりして肺活量、努力性肺活量、換気能力などの検査を行います。

4.脳波検査

頭部に電極をつけ、主に大脳の活動状態を頭皮上から記録します。ベッドに横になって眼を閉じて検査をします。検査所要時間は約1時間です。電極から身体に電気が流れることはありませんので、ご安心ください。

5.血圧脈波(ABI)検査

両腕・両足首の血圧を同時に測定し、血管の硬さや詰まりやすさ等を検出し、動脈硬化の程度や血管年齢の評価を行います。検査時は手首に心電図用クリップと、胸に心音用マイクを装着します。

中央検査科 取得認定資格一覧

認定機関 取得資格 取得者数
日本糖尿病療養指導士認定機構 日本糖尿病療養指導士 1
日本超音波医学会 超音波検査士(循環器) 1
日本臨床細胞学会 細胞検査士 2
日本輸血・細胞治療学会 認定輸血検査技師 2
日本臨床検査同学院 緊急臨床検査士 1
日本臨床検査同学院 二級臨床検査士 2
日本臨床衛生検査技師会 認定一般検査技師 1